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退職金とiDeCoは何年あけて受け取る?同時受取・5年後受取・拠出延長で、手取りと資産寿命を比較

退職金が2,000万円、iDeCoが800万円あるとしても、退職後に実際に使える金額が、そのまま2,800万円になるとは限りません。

退職金とiDeCoを同じ年に一時金で受け取るのか。退職金を60歳、iDeCoを65歳で受け取るのか。その間もiDeCoへの掛金拠出を続けるのか。

この違いによって、退職所得控除の使われ方だけでなく、税引後の手取り、60歳から65歳までに使えるお金、iDeCoを運用できる期間も変わります。

退職金にもiDeCo・企業型DCの一時金にも、勤続年数や拠出期間に応じた退職所得控除があります。ただし、近い時期に複数の一時金を受け取ると、それぞれの控除を別々に満額使えるとは限りません。

この記事では、次の3ケースを実際に試算し、税金と資産寿命の両方にどのような差が出るのかを確認します。

  • 60歳で退職金とiDeCoを同時に受け取る
  • 退職金を60歳、iDeCoを65歳で受け取る
  • iDeCoの受け取りを65歳まで待ち、掛金の拠出も65歳まで続ける
3ケースの比較結果を見る

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まず結論:受け取る時期だけでなく、拠出を終える時期でも変わる

今回の試算から分かったことは、次の5点です。

  1. 同じ年に受け取ると、退職金とiDeCoの控除を別々に満額使えるとは限りません。今回のモデルでは、iDeCoの拠出期間が会社の勤続期間にすべて含まれるため、勤続35年分の退職所得控除を使って合算計算します。
  2. 退職金を先に受け取り、iDeCoを後から受け取る場合は「19年ルール」の影響を受けます。5年空けただけでは、勤続期間とiDeCo拠出期間の重複調整はなくなりません。
  3. iDeCoへの拠出を退職後も続けると、控除に使える期間が増える場合があります。退職後に拠出した期間は、会社の勤続期間と重ならないためです。
  4. 今回のモデルでは、合計手取りが2,699万円、2,772万円、2,819万円と変わりました。ただし、この差には税額だけでなく、iDeCoの運用期間や追加拠出の違いも含まれます。
  5. 税引後の手取り差は、90歳までの資産推移にも影響しました。FIRE達成見込みは80.7%、83.2%、84.1%。やや慎重なケースでの90歳時点資産は46万円、304万円、423万円となりました。

「同時に受け取らない方がよい」「拠出を延ばした方がよい」と一律に決められるわけではありません。退職金の額、勤続年数、iDeCoの残高や拠出期間によって結果は変わるため、自分の数字で確認することが大切です。

この記事の内容

退職金にもiDeCoにも、退職所得控除がある

退職金には、勤続年数に応じて税負担を抑える退職所得控除があります。

一般的な退職所得控除は、次のように計算します。

勤続年数 20年以下

40万円 × 勤続年数

勤続年数 20年超

800万円+70万円 ×(勤続年数-20年)

たとえば勤続35年なら、退職所得控除は次のとおりです。

800万円+70万円×15年=1,850万円

iDeCoや企業型DCを一時金で受け取る場合も、税法上は退職所得として扱われ、退職所得控除を使います。会社の退職金では勤続年数を使いますが、iDeCo・企業型DCでは原則として掛金を拠出した期間が計算の基礎になります。

ここだけを見ると、「退職金とiDeCoに、それぞれ別の控除がある」と考えたくなります。しかし、受け取る年や順番が近いと、控除対象期間の重複を調整するルールがあります。

出典:国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」

退職金とiDeCoを同じ年に受け取ると、控除の計算が変わる

退職金とiDeCoの一時金を同じ年に受け取る場合、2つの退職所得控除を別々に満額使えるとは限りません。

原則として、それぞれの勤続期間・拠出期間のうち最も長い期間をもとに控除を計算します。ただし、最も長い期間と重複していない期間があれば、その期間を加えて計算します。

今回のモデルでは、次のようになっています。

  • 会社の勤続期間:25歳から60歳までの35年
  • iDeCoの拠出期間:40歳から60歳までの20年

iDeCoの20年間は、会社の勤続期間35年の中にすべて含まれています。そのため、重複していない期間はなく、勤続35年分の退職所得控除1,850万円を使って計算します。

退職金2,000万円とiDeCo800万円を合算した2,800万円に対して計算した結果、手取りは合計約2,699万円となりました。

同じ年に受け取った場合

退職金
額面2,000万円 → 手取り1,928万円
iDeCo
額面800万円 → 手取り771万円
合計手取り
2,699万円
退職金とiDeCoを60歳で同時に受け取った場合の税金計算画面
退職金とiDeCoを60歳で同時に受け取った場合の税金計算画面

※「大きい方の控除だけを使う」という結果は、今回のように短い方の期間が長い方の期間にすべて含まれるケースです。加入・拠出時期が異なり、重複していない期間がある場合は計算も変わります。

出典:国税庁「No.2735 同じ年に2か所以上から退職手当等が支払われるとき」

何年あければよい?「19年ルール」と「10年ルール」

退職金とiDeCoを別の年に受け取っても、受け取り時期が近ければ、過去に使った退職所得控除との重複調整が行われます。

受け取る順番によって、確認される期間が異なります。

退職金を先に、iDeCoを後から受け取る場合

一般に「19年ルール」と呼ばれます。

iDeCoの一時金を受け取る年の前年以前19年以内に退職金を受け取っている場合、会社の勤続期間とiDeCoの拠出期間の重なりを調整します。

重複調整の対象から外すには、受け取り年を20年以上あける必要があります。

iDeCoを先に、退職金を後から受け取る場合

2026年1月以降に受け取ったiDeCo一時金については、一般に「10年ルール」と呼ばれる扱いになります。

退職金を受け取る年の前年以前9年以内にiDeCo一時金を受け取っている場合、重複期間を調整します。重複調整の対象から外すには、受け取り年を10年以上あける必要があります。

2026年1月より前に受け取ったiDeCo一時金については、経過措置により従来の期間が適用される場合があります。

退職金を60歳で受け取ると、20年あけるのは現実的ではない

多くの会社員は、会社を退職するときに退職金を受け取り、その後にiDeCoを受け取ります。

60歳で退職金を受け取り、19年ルールの対象から完全に外れるよう20年あけると、iDeCoを受け取るのは80歳です。しかし、iDeCoの老齢給付金は75歳までに請求する必要があります。

そのため、退職金を先に受け取る一般的なケースでは、受け取り時期をずらすだけで19年ルールを完全に避けるのは難しいと考えられます。

もう一つの選択肢:iDeCoの拠出期間を延ばす

受け取り時期を20年あけるのが難しくても、控除に使える期間を増やせる場合があります。

ポイントは、iDeCoへの掛金拠出をいつまで続けるかです。

今回のモデルでは、会社の勤続期間が25歳から60歳まで、iDeCoの拠出期間が40歳から60歳までです。iDeCoの20年間は、会社の勤続期間とすべて重なっています。

一方、60歳で退職した後も65歳までiDeCoへの拠出を続けると、60歳を超えた拠出期間は会社の勤続期間と重なりません。その分が、iDeCo一時金の退職所得控除に反映されます。

今回の試算では、次の2ケースを比較しました。

拠出延長なし

60歳で掛金拠出を終了し、65歳まで運用のみ継続

iDeCo額面872万円・税額89万円・手取り783万円

拠出延長あり

60歳から65歳まで年6万円、合計30万円を拠出

iDeCo額面873万円・税額43万円・手取り830万円

額面は872万円から873万円とほぼ同じでしたが、税額は89万円から43万円へ減り、手取りは約47万円増えました。

このモデルでは、拠出期間を5年延ばしたことで、会社の勤続期間と重ならない期間が増え、退職所得控除が反映されたためです。

退職金を60歳、iDeCoを65歳で受け取り、拠出を60歳で終了した場合
退職金を60歳、iDeCoを65歳で受け取り、拠出を60歳で終了した場合
退職金を60歳、iDeCoを65歳で受け取り、拠出も65歳まで続けた場合
退職金を60歳、iDeCoを65歳で受け取り、拠出も65歳まで続けた場合

60歳以降もiDeCoへ拠出できるとは限らない

2026年8月時点では、60歳以降もiDeCoへ掛金を拠出できるのは、厚生年金に加入して働いている人や、国民年金へ任意加入している人など、一定の条件を満たす場合です。

完全に退職した人が、誰でも自由に65歳まで拠出できるわけではありません。国民年金の納付状況によっては、任意加入できない場合もあります。

また、2026年12月1日には、iDeCoの加入可能年齢を70歳未満へ広げる制度改正が施行される予定です。改正後は、60歳以上70歳未満で、iDeCo加入者・運用指図者であった人など、一定の条件を満たす人が加入・継続拠出できるようになります。

施行から3年間は対象を広げる経過措置も予定されていますが、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金をすでに受け取っていないことなど、加入には条件があります。

実際に拠出を続けられるかは、iDeCo公式サイトや加入している金融機関で最新の条件を確認してください。

3つの受け取り方を比較

ここからは、税引後の受取額と、90歳までの資産推移を分けて確認します。

今回の試算条件

モデル

25歳入社の会社員

夫婦二人世帯

退職年齢・勤続年数

60歳定年退職

勤続35年

想定寿命

90歳

退職金

額面2,000万円

iDeCo

60歳時点で800万円

40歳から拠出

その他の資産

1,000万円

特定口座

公的年金

65歳から世帯で月21万円

手取り

生活費

月30万円

インフレ率

年2%

退職後収入

公的年金以外なし

運用

全世界株式を想定

特定口座・iDeCoとも

取り崩し

退職金・特定口座から

iDeCoは受取後に合流

特定口座とiDeCoのリターン・リスクは、全世界株式ETFであるVTの過去30年データをもとに設定しています。特定の商品への投資をすすめるものではなく、過去のデータは将来の成果を保証しません。

比較する3ケース

A:同年受取

退職金
60歳
iDeCo受取
60歳
iDeCo拠出
60歳で終了

B:5年後受取

退職金
60歳
iDeCo受取
65歳
iDeCo拠出
60歳で終了し、65歳まで運用のみ継続

C:5年後受取+拠出延長

退職金
60歳
iDeCo受取
65歳
iDeCo拠出
65歳まで年6万円を拠出

Cで60歳から65歳までに拠出する合計30万円は、その他資産からiDeCoへ移す前提です。世帯全体の資産に、新たに30万円を追加する試算ではありません。

受取額・税額・手取りを比較

A:同年受取

退職金(額面→手取り)
2,000万円→1,928万円
税額72万円
iDeCo(額面→手取り)
800万円→771万円
税額29万円
合計手取り
2,699万円

B:5年後受取

退職金(額面→手取り)
2,000万円→1,989万円
税額11万円
iDeCo(額面→手取り)
872万円→783万円
税額89万円
合計手取り
2,772万円

C:5年後受取+拠出延長

退職金(額面→手取り)
2,000万円→1,989万円
税額11万円
iDeCo(額面→手取り)
873万円→830万円
税額43万円
合計手取り
2,819万円

AからBでは、合計手取りが約73万円増えた

AとBでは、退職金の額面はどちらも2,000万円です。

退職金の手取りは1,928万円から1,989万円へ約61万円増えました。これは、退職金とiDeCoを同じ年に合算した場合と、退職金だけを単独で受け取った場合の税額差です。

一方、iDeCoは65歳まで運用を続けたことで、額面が800万円から872万円へ増えています。しかし、19年ルールによる重複調整で税額も29万円から89万円へ増えたため、iDeCoの手取り差は約12万円にとどまりました。

そのため、AとBの合計手取り差約73万円は、税制だけの効果ではありません。退職金側の税額差に加え、iDeCoを5年間運用した結果も含まれています。

BからCでは、合計手取りが約47万円増えた

BとCは、どちらも退職金を60歳、iDeCoを65歳で受け取ります。

退職金の手取りは同じ1,989万円です。iDeCoの額面も872万円と873万円でほぼ同じですが、税額は89万円から43万円へ減り、手取りが783万円から830万円へ増えました。

今回の試算では、この約47万円の差は、主に拠出期間を5年延ばしたことで、退職所得控除に反映される期間が増えた影響です。

ただし、拠出延長の効果は、退職金額、勤続年数、iDeCoの拠出開始年齢、受け取り年齢によって変わります。掛金を延ばせば必ず同じだけ有利になるわけではありません。

税引後の手取りを、90歳までの資産推移へ反映

税金の差だけでは、退職後の安心度までは分かりません。

iDeCoを65歳まで受け取らない場合、口座内では運用を続けられますが、60歳から65歳までの生活費には使えません。その間は、退職金の手取りやその他資産だけで生活費をまかなう必要があります。

あんしんFIREでは、それぞれのケースで計算した税引後の手取りを、60歳から90歳までの資産推移へ反映しました。

A:同年受取

現実的に検討できる水準です
FIRE達成見込み
80.7%
厳しめケース
資産寿命81歳ごろ
慎重ケース
資産寿命85歳ごろ
やや慎重ケース
90歳時点資産46万円

B:5年後受取

現実的に検討できる水準です
FIRE達成見込み
83.2%
厳しめケース
資産寿命81歳ごろ
慎重ケース
資産寿命85歳ごろ
やや慎重ケース
90歳時点資産304万円

C:5年後受取+拠出延長

現実的に検討できる水準です
FIRE達成見込み
84.1%
厳しめケース
資産寿命82歳ごろ
慎重ケース
資産寿命86歳ごろ
やや慎重ケース
90歳時点資産423万円
60歳で退職金とiDeCoを同時に受け取った場合の資産推移
60歳で退職金とiDeCoを同時に受け取った場合の資産推移
退職金を60歳、iDeCoを65歳で受け取り、拠出も65歳まで続けた場合の資産推移
退職金を60歳、iDeCoを65歳で受け取り、拠出も65歳まで続けた場合の資産推移

今回のモデルでは、同年受取よりも5年後受取、さらに拠出延長ありの順で、FIRE達成見込みと90歳時点の資産が改善しました。

ただし、税額が47万円減れば、90歳時点の資産も必ず47万円増えるわけではありません。受け取る時期、運用中の相場、60歳から65歳までの取り崩し方などが重なって、最終的な資産推移が決まります。

この結果は、退職金2,000万円、iDeCo800万円、その他資産1,000万円、生活費月30万円というモデルケースでの試算です。条件が変われば、結果も大きく変わります。

自分の場合に確認したい5つの項目

自分の受け取り方を考えるときは、次の5項目を確認します。

1. 会社の退職金額と、受け取れる時期

就業規則や退職金規程で、見込み額と受取時期を確認します。確定給付企業年金などがある場合は、一時金と年金の選択肢も確認が必要です。

2. 入社日と退職予定日

退職所得控除の計算には勤続期間を使います。1年未満の端数の扱いもあるため、年数だけでなく日付で確認しておくと安心です。

3. iDeCo・企業型DCの拠出開始日と終了予定日

残高だけではなく、いつからいつまで掛金を拠出したかが重要です。企業型DCからiDeCoへ移換したことがある場合は、通算期間も確認します。

4. 60歳以降も掛金を拠出できるか

厚生年金への加入状況、国民年金の任意加入資格、2026年12月以降の新しい加入条件などを確認します。

5. iDeCoを待つ間の生活費を、他の資産でまかなえるか

税金だけを見ると受け取りを遅らせる方が有利でも、生活費に使える資産が足りなければ、退職後の資金繰りは苦しくなります。

税額と同時に、60歳から年金開始までの資金繰りを確認することが重要です。

自分で計算しようとすると複雑になる理由

退職金とiDeCoの税金は、単純に金額を足して税率を掛ければ終わるものではありません。

確認が必要なのは、たとえば次の項目です。

  • 退職金が先か、iDeCoが先か、同じ年か
  • 受け取り年の間隔が何年あるか
  • 勤続期間とiDeCo拠出期間が、実際にどの年齢で重なっているか
  • iDeCoへの拠出を何歳まで続けるか
  • iDeCoと企業型DCの両方があるか
  • 一時金で受け取るか、年金で受け取るか
  • 税引後の手取りを受け取るまで、生活費を何でまかなうか
  • 受け取り後の資産を、何歳までどの順番で取り崩すか

税額だけを計算できても、それが退職後の資産寿命にどう影響するかは、別にシミュレーションする必要があります。

あんしんFIREなら、税額と資産寿命を続けて確認できる

あんしんFIREの退職判断パックでは、退職金・iDeCo・企業型DCの条件を入力し、複数の受け取り方を比較できます。

  • 退職金・iDeCo・企業型DCの額面から、退職所得控除、所得税、復興特別所得税、住民税を自動計算
  • 同じ年に受け取る場合、受け取り時期をずらす場合を比較
  • 19年ルール・10年ルールと、勤続期間・拠出期間の重複を自動判定
  • iDeCoへの拠出終了年齢を変えて比較
  • 控除期間の重なりをタイムラインで確認
  • 税引後の手取りを、そのまま資産寿命のシミュレーションへ反映
  • 相場の良し悪しを最大10,000通り試し、慎重なケースまで確認

自分で制度を読み解いて手計算しなくても、金額と年齢を入力することで、受け取り方ごとの違いを一つの画面で確認できます。

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まとめ:税金だけでなく、受け取るまでの資金繰りも確認する

退職金とiDeCo・企業型DCの受け取り方を考えるときは、次の3点を分けて見る必要があります。

  • 同じ年に受け取るか、時期をずらすかで、退職所得控除の計算が変わる
  • iDeCoへの拠出を何歳まで続けるかでも、控除に使える期間が変わる場合がある
  • 税引後の手取りだけでなく、iDeCoを受け取るまでの生活費と、90歳までの資産推移も確認する

今回のモデルでは、同年受取から5年後受取へ変えると合計手取りが約73万円増え、さらに65歳まで拠出を続けると約47万円増えました。

しかし、誰にとっても同じ結果になるわけではありません。退職金額、勤続年数、iDeCoの残高・拠出期間、退職後の生活費によって、税額と資産寿命は変わります。

大切なのは、一般論だけで受け取り方を決めず、自分の数字を入れて比較することです。

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よくある質問

退職金とiDeCoを同じ年に受け取ると、必ず損になりますか?

一概には言えません。退職金とiDeCoの合計額が退職所得控除の範囲に収まる場合や、勤続期間・拠出期間の重なり方によっては、同じ年に受け取っても税負担が小さいことがあります。今回のモデルでは、同年受取より5年後受取の方が合計手取りは約73万円多くなりました。ただし、この差には退職金側の税額差だけでなく、iDeCoを5年間運用した結果も含まれます。

退職金を先に受け取った場合、iDeCoは何年あければよいですか?

退職金を先に受け取り、iDeCoを後から受け取る場合、重複調整の対象から外すには受け取り年を20年以上あける必要があります。ただし、60歳で退職金を受け取ると、20年後は80歳です。iDeCoは75歳までに受給請求が必要なため、実際には完全に19年ルールを避けるのが難しいケースが多くなります。

iDeCoへの掛金拠出を延ばすと、なぜ控除が増えるのですか?

退職金の勤続期間とiDeCoの拠出期間が重なっている部分は、退職所得控除の計算で調整されます。会社を60歳で退職し、その後もiDeCoへの拠出を続けると、60歳を超えた期間は会社の勤続期間と重なりません。そのため、その期間がiDeCo一時金の控除計算に反映される場合があります。今回のモデルでは、60歳から65歳まで年6万円を拠出したことで、iDeCoの手取りが約47万円増えました。ただし、拠出を続けられるか、どの程度控除が増えるかは個人の条件によって異なります。

iDeCoを先に受け取れば有利になりますか?

iDeCoを先に受け取り、その後に退職金を受け取る場合は、2026年1月以降に受け取ったiDeCo一時金について「10年ルール」の影響を受けます。受け取り年を10年以上あければ重複調整の対象外となりますが、会社の退職金を10年以上遅らせられるかは、勤務先の制度によります。また、早くiDeCoを受け取ると、その後の運用期間や公的年金との関係も変わります。税金だけでなく、資産全体で比較する必要があります。

企業型DCも同じように扱われますか?

企業型DCを一時金で受け取る場合も、原則として退職所得として扱われ、退職所得控除を使います。会社の退職金、企業型DC、iDeCoを近い時期に受け取る場合は、それぞれの勤続期間・拠出期間の重なりを確認する必要があります。あんしんFIREでは、iDeCoと企業型DCを分けて入力できます。

iDeCoを年金で受け取れば、退職金との重複問題はなくなりますか?

年金として受け取る場合は、退職所得ではなく雑所得として扱われ、公的年金等控除を使います。そのため、一時金同士の退職所得控除の重複とは別の計算になります。ただし、公的年金や企業年金など、ほかの年金収入と合算して税額が決まります。年齢や年間受取額によっても変わるため、一時金より必ず有利とは限りません。

手取りの差は、資産寿命にどのくらい影響しますか?

手取り額だけでは決まりません。iDeCoを何歳で受け取るかによって、生活費に使える時期と、口座内で運用する期間が変わります。退職直後の相場や、他の資産からの取り崩し方も影響します。そのため、税引後の手取りを計算したうえで、退職後の資産推移へ反映して確認する必要があります。

税金の自動計算は無料で使えますか?

自分で計算した手取り額を入力し、資産寿命を1,000通りで試算する機能は無料で利用できます。退職金・iDeCo・企業型DCの額面から税金を自動計算し、受け取りタイミングや拠出期間を比較する機能は、退職判断パックの機能です。退職判断パックは、30日間・買い切り2,980円で、自動更新はありません。

計算・制度に関する注意事項

このページは、退職金・iDeCo・企業型DCの受け取り方を考えるための材料を提供するもので、特定の受け取り方や金融商品を推奨するものではありません。

  • 退職金・iDeCo・企業型DCの一時金は、一般的な退職所得として、額面から退職所得控除を差し引き、原則として残額の2分の1を課税退職所得として所得税・復興特別所得税・住民税を概算しています。
  • 短期退職手当、特定役員退職手当などは計算方法が異なります。
  • 同じ年の受け取りや過去の退職手当との重複調整は、国税庁の退職所得に関する規定をもとに計算しています。
  • 実際の税額は、受取年度、他の退職手当、勤続期間・拠出期間の日付、申告状況などによって変わる場合があります。
  • 60歳以降にiDeCoへ拠出できるかは、厚生年金・国民年金への加入状況や制度施行時点の条件によって異なります。
  • 資産寿命は、過去の市場データを使ったモンテカルロ・シミュレーションによる目安であり、将来の結果を保証するものではありません。
  • 最終的な税務判断は、税理士または所轄の税務署へご確認ください。iDeCoの加入・拠出・受給条件は、iDeCo公式サイトまたは加入している運営管理機関へご確認ください。

主な出典

あんしんFIREは、退職判断のための試算ツールです。金融商品の販売・勧誘、営業連絡、FPの紹介は行っていません。入力データは暗号化され、運営者が個別の入力内容を見ることはできない設計です。

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